緑の冬


 
  北海道で気温が上がり夏らしくなるのは、七月下旬から八月の中頃ですが、やはり一番

 気温が高くなるのは八月に入ってからの方です。 たとえば札幌で真夏日を観測した日を調

 べてみると、七月二十日頃から真夏日が現れやすくなり、七月三十日から八月三日をピ

 −クにお盆にかけて出現率が高くなっています。そして八月八日にかけて、一年の最高気

 温が現れやすくなっています。しかし、お盆を過ぎますと気温も下降線をたどり秋風が吹く

 ようになってきます。

   北海道の夏が暑くなるか涼しいまま終わるかは、太平洋高気圧とオホーツク海高気圧

 との、どちらの高気圧に覆われるかが理由の一つです。 太平洋高気圧の勢力が強く、

 広く南から覆われる年は夏らしい夏となり、気温が連日三十度を超えて、時には昨年の

 北海道のように、記録的な猛暑となる年もあります。一方オホーツク海から張り出す冷た

 い高気圧に覆われる年は、冷たい東風が入り気温が上がらず、雨が続くなど不順な天気

 が続きます。この冷たい東風、東北地方ではヤマセと言って恐れられています。作物が

 思うように取れず、不作となる年もあります。時には記憶にも新しい一九九三年のような

 冷夏の時のように、凶作となる年もあります。

   そのような、盛夏だと言うのに青葉の茂る五月の陽気でしかなく盛夏にしてはひんやり

 し過ぎる夏のことを、「緑の冬」とも呼ぶこともあります。元気象庁天気相談所長の方が

 言い始めた言葉ですが、ロマンチックでさわやかな印象を受ける反面、秋の凶作にもつな

 がりかねない、ぞっとする響きも持っています。

  夏の気温は、秋の収穫を左右する重要な要素の一つです。品種改良が進んで昔ほど

 冷害の影響は少なくなってきたとはいえ、安定した夏らしい天候が待ち望まれます。


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